東京商工リサーチによると、2022年上半期(1-6月)に早期・希望退職者を募集した上場企業は25社(募集人数4,515人)を記録したとのこと。この数字は、新型コロナ感染が拡大した2020年以降では、社数・募集人数ともに最少とも伝えられています。だとしても、ここ数年、希望退職・早期退職制度を発表する大企業の数はびっくりするほどですよね。
このニュースをどう受け取るか・・ですが。スモールビジネスこそが日本を元気する源泉であると考えると我々にとっては朗報と受け止めています。
と言うのも、スモールビジネスの経営という点においては、「大企業の早期退職者ほど成功しやすい人はいない」と強く思っているからです。もちろん、この傾向がより顕著なのはスモールビジネスオーナーとして携わるのが「サラリーマン時代にやっていた業界・市場」の場合、ですが。
その理由を最初に言ってしまうと、大企業の早期退職者は
- 市場と顧客ニーズがわかっている
- 大企業が参入しない領域にも参入できる
- 元の会社とのウィンウィンが構築できる
です。
早期退職者こそスモールビジネスをやるべき3つの理由
スモールビジネス成功の秘訣は
- 既にニーズがはっきりしている市場で
- 大企業が取り組まない(小さすぎて興味を示さない・面倒臭くてやる気がない)領域を設定し
- その領域で「〇〇と言えば・・・」であなたの会社(商品)の名前が真っ先に挙がる
を実現することです。
これを考えると先ほど挙げた「大企業の早期退職者がなぜスモールビジネスで成功しやすいか」がお分かり頂けると思います。が、ここからはこれをやや深堀りしていきます。
市場と顧客ニーズがわかっている
早期退職制度の対象者であれば、その企業の勤務経験が20年超あるはず。となると人事異動での配置換えが数年おきにあったとしても、その企業が扱っている市場の大まかなことは理解しているはず。例えば
- ビジネスモデル
- 競合他社はどこなのか
- 顧客はどんな会社・人なのか
- コスト構造はどうなっているか
などです。これはその業界の人なら「当然知っているべきこと」ではあります。でも、あなたが仮にその業界に新規参入を試みたと考えて下さい。いいかに貴重な知識であるかがお分かり頂けるはず。
また、顧客のニーズも把握してますよね。
- 顧客一般の抱えている問題
- 特定の顧客の課題
など、これがいかに貴重な情報であるかはここで語る必要はありませんよね。
もちろんサラリーマン時代の資料を持って来いとか、守秘義務違反をしろと言っているのではありません。言っているのは、業界に長くいて自然に身についた情報や知識のことです。
それだけでも新規参入しようとする人と比べたら、スタート地点でいきなり天と地ほどの差があることは明らかです。これらを活用すればスモールビジネスの成功要因の多くを早期退職時点から持っていると言えると思います。
大企業が参入しない領域にも参入できる
大企業がビジネスをやる際、比較的高い「売上高の期待値」があります。つまり「ある程度儲からないとやらないよ」という基準値です。もちろんその大きな理由は、大きな間接費を賄える売上を確保しないといけないからです。
なので、大企業が手を出さない領域が必ずあります。簡単に言うと
- やっても儲からない
- 手間を考えるとやる意味がない
領域です。
一方スモールビジネスは、売上が小さくても利益を出せる小さなオペレーションが可能です。なので、大企業が手を出さない領域に参入し成功する(利益が出せる)可能性は十分にあります。当然、その小さな領域にもスモールビジネス同士の競合があるかもしれません。でも、大企業との争いを考えたら「打ち手」があるはずです。
元の会社とのウィンウィンが構築できる
早期退職者は元の会社の業務上の「お作法」が十分過ぎるほどわかっていますよね。どこをどう押すと、どんな結果がでるか。地雷を踏まないようにものごとを進める知恵などです。
これを把握した上で、元の会社の下請けになれば、
あなたは元の会社にとって「業界に明るく・社の内情までよくわかっている・つきあうと楽な人」になれるし、元の会社はあなたにとって「内部の仕組みまで把握できているのでお金のとって来やすい顧客」になれるのです。つまり、お互いメリットのあるウィンウィンな関係になることが比較的容易になることができるのです。
- 顧客が本当は何を望んでいるのか
- この案件にどの程度の予算をかけられるのか
- キーパーソンは誰か
などは「初めまして!」の新参者ではなかなか知り得ない知識と知恵ですよ!早期退職者であるあなたには、これらが商売を始めた途端から持てるわけです。
サラリーマン時代に経験したかもしれませんが、新規顧客をゲットするのがどれだけ大変か、お分かりですよね。それを考えると挨拶メールに「〇〇を始めましたので、〇〇のお手伝いができると思うので一度お話しさせて下さい」の一言を入れるだけで「挨拶という商談」が実現するはず。だってあなたほど「外注先として付き合ったら楽な人」はいないはず。断る元同僚はいないですよね。元の会社があっという間に「大口顧客」になります。
このように、その他大勢の人と比べたら早期退職者には圧倒的に大きなアドバンテージがあるのです。
まとめ
ということで、大企業の早期対象者がスモールビジネスに転身した場合、成功する大きなポテンシャルがあります。
その理由は
- 市場と顧客ニーズがわかっている
- 大企業が参入しない領域にも参入できる
- 元の会社とのウィンウィンが構築できる
というお話しでした。
今回は割愛しましたが、サラリーマン時代にやっていた領域で「コンサルタントに転身」というのも
- ソリューション提供のための業界知識
- 営業のための人脈
というコンサル成功という意味で大きく優位に働くものが早期退職者にある、ということを付け加えておきますね。
ではまた
(あ)
コメント