日本企業が海外に商品を販売する方法は多岐に亘るようになってきました。お手軽なのはEC、いわゆる越境ECというものです。これには
- 独自ドメインでECサイトを作成する
- ECモールに出展する
などの方法があります。
ここでお伝えするのはその次のステップである
- 海外市場のチャネルに商品を流通させる
を前提に現地のリテーラーのバイヤーとの接点をもつことを狙った展示会への出展についてです。
特に市場が大きく「リターンの期待値が一番大きな」米国市場に進出を考えている中小企業、スモールビジネス向けに【アメリカの展示会に出展する方法】について、カンタンにまとめておきます。
展示会出展のメリット
以下のようなメリットがあります。
- 米国で展開しているリテーラーのバイヤーとの接点を作ることができる
- 商品に対するリテーラーの反応を得ることができる
- 来場しているバイヤーの種類が多岐にわたる
- なんといってもこの領域のイベントでは全米一
- 当該領域の専門メディアも多くくるので、PR効果も期待できる
- かかるコストは安くはないが「割安」
- 仮にLA周辺で4グループの受容性調査を目的としたFGI(フォーカス・グループ・インタビュー)やった場合(一グループ6人〜8人)のコストは約3万ドル程度。
- これに対して展示会は出展するだけで「受容性調査」と同様、またはそれ以上の情報量のリターンを得ることができる
どんな展示会があるのか
米国進出を考えている日本企業が初めて米国の出展会に出展する際、どの展示会に出展すべきか迷うと思います。
もしビジネス領域が以下のものであれば、
- 健康/ヘルスケア
- 生活/化粧品
- 農林水産物、食品、飲料
あえて誤解を恐れず言うと、検討するに値する米国展示会は4つだと思っています。
- Natural Products Expo West
- Natural Products Expo East
- Winter Fancy Food Show
- Summer Fancy Food Show
それぞれの展示会の特徴
それぞれの展示会の特徴を簡単にまとめておきます。出展社数や来場者などの詳しいことは、それぞれの展示会のウェブサイトをご覧いただくのが一番だと思います。
ここでは、あくまで「ざっくりとした」概要についてお伝えできればと思います。
Natural Products Expo West
- 開催地:カリフォルニア州アナハイム
- 開催時期:3月
- 特徴
- この中では規模が一番大きい
- オーガニック食品、自然食品などの食品や健康、美容などのトレンドとなるものが発信
- グローサリー/リテーラーが棚の見直しの際、また、新商品発掘のタイミングで来場、商談に活用する展示会
- この中では規模が一番大きい
Natural Products Expo East
- 開催地:アメリカ東海岸(2023年はフィラデルフィア)
- 開催時期:9月
- 特徴
- 基本的にはWestと同じ。しかし、規模は出展社、来場者ともにWestの半分ぐらい(体感)
Winter Fancy Food Show
- 開催地:ネバダ州ラスベガス
- 開催時期:1月
- 特徴:
- 規模感はNatural Products Expo Westの3分の一程度な感じ
- 注意点:かつては米国内に拠点のある会社しか出展できないというルールがありました。2024年のレギュレーションについては確認中です。しかし、その場合でもなんとかする方法もあります。
Summer Fancy Food Show
- 開催地:ニューヨーク
- 開催時期:6月
- 特徴:
- 基本的にはWinter Fancy Food Showと同じ
コスト感
以上ご紹介した展示会のうちNatural Products Expo Westを例にとって「ざっくりとしてコスト感」をご紹介します。
もちろん、コスト計算にはブースの規模、どこまで作り込みをするのか、運営体制をどうするのか、などが分からないと詳細はでません。
しかし、一体全体どのくらい費用がかかるの?というご質問にお答えるするために誤解を恐れずあえてざっくりとお出ししています。ご了承下さい。
費用はスタッフの渡航費、宿泊費などを除くと、大きく3つに分類されます。
- ブース代
- 設営費
- 運営費
それぞれについてお伝えします。
ブース代
私がこれまで担当していたクライアントさまは「初めて」の出展ではなかったので、リピート料金が適用されていました。なので、「初めての出展のブース代」はちゃんと調べる必要がありますが・・・ここではざっくりとお伝えします。
10 by 10(10フィートX10フィート)つまり、約3メールの正方形のブースで10,000ドル程度のはずです。
このExpo Westは人気の展示会です。リピートする企業は会期中に「次の年の予約をするのが普通」の状態です。なので、リピーターではない企業は、リピーターによって取られたしまったスペースを「早いものがち」で奪い合う状況となっています。
出展希望社が増える一方であることもあり、需給バランスの関係で年々値上がりする傾向があるので、その都度確認する必要があります。
設営費
「やり方」によってかかるコストはピンきりであるのがこの領域です
「やり方」とは設営のクオリティもそうですが、資材の調達や運搬を主催者に依頼する場合は、一般的には自社でやるより費用がかかります。費用がかかるものの、主催者に依頼できるものには以下のものがあります。
主催者に依頼する場合
資材のハンドリング
パンフレットやパネルなどを会場にシッピングし、主催者にブースまで持ってきてもらう費用です。主催者に依頼する、イコール、ユニオンに所属するワーカーが担当することになります。したがって、決まった料金が発生します。当然、自社で持ち込めばそのコストは発生しません。
レンタル物品
カーペット、電気など、いわゆるレンタルものは主催者にリクエストすべきものです。注意点はリクエストの時期です。
直前申し込みもできますが、直前になればなるほどレートが上がります。安いレートでレンタルできるのは1月中下旬までだったような気がします(開催は3月中旬です)
制作物
バナーなども主催者に制作依頼することもできますが、割高になります。これは自社または外注先に制作を依頼して持ち込んだほうがいいと思っています。
一番シンプルにやるには
壁面の作り込み(企業名、ロゴ、商品、イメージなどを掲出)とテーブルさえあれば、なんとか出展社としてのカタチになります。それにバナーなどを加えた作り込みが一番シンプル、かつ最低限の要素を備えた出展のカタチになると思います。
設営費としては
このようなシンプルなカタチで出展する前提だと設営費として5,000ドル〜という費用感です。
運営費
自社の営業の方だけでオペレーションをするやり方が一番シンプルです。しかし、営業スタッフの人数が少ないと見込み客が来て商談・・となった場合、ブースに誰もいなくなってしまいます。それは避けたいですよね。
それを避けるために、多くの企業は運営要因を採用します。もちろん、商品の詳しいことは説明できませんが
- 人を呼び込む
- パンフレットなどを手渡す
- 営業スタッフにつなげる
などの作業を任せることは可能です。
運営要員のコスト
金額が同じでも人によってパフォーマンスの質が異なります。「この人はよかった。またお願いしたい」と思う人もいれば「二度とゴメン」という人もいるのは事実。
なので、金額で一概に質を担保することはできませんが・・・こんな印象です。
- 時給40ドル:ちゃんとしている人が多い
- 時給30ドル:物足りないと感じる人が多い
まとめ
もし、あなたの会社がこんな状況であれば
- アメリカ進出を考えている
- アメリカに拠点はない
- 自然系、オーガニックを意識した食品、健康系商品、美容・・・などの商品でアメリカ進出を検討している
Natural Products Expo Westを最初の展示会としてお勧めします。その理由は
- 米国で展開しているリテーラーのバイヤーとの接点を作ることができる
- 商品に対するリテーラーの反応を得ることができる
- 来場しているバイヤーの種類が多岐にわたる
- なんといってもこの領域のイベントでは全米一
- 当該領域の専門メディアも多くくるので、PR効果も期待できる
- かかるコストは安くはないが「割安」
だからです。
かかる費用は(もちろん何をどんな規模でやるかによりますが)、最もシンプルなやり方で
- ブース代:10,000ドル程度(約3メートルX3メートル)
- 設営費:5,000ドル〜
- 運営費:スタッフ時給30〜40ドル
という費用感です。
もしご希望でしたら、より細かな見積もりをお出しします。お問い合わせは以下からお願いします。
海外進出に関連する別の情報はこちらから。

コメント